相続と不動産売却で起きた、ちょっとややこしい話

相続が関係する不動産の売買では、ときどき「それ、本当にそうなの?」
と立ち止まりたくなることが起きます。

今回は、実際に私たちが経験した小規模宅地等の特例をめぐる出来事です。

 

 

小規模宅地の特例って何?

簡単に言うと、相続税が高くなりすぎないように、土地の評価を下げてくれる制度です。

たとえば、亡くなった方がアパートやマンションを貸していた場合、その土地は「貸付事業用宅地」として、一定の条件を満たせば、相続税が軽くなります。

 

ポイントは「10か月」

相続税は、相続が始まってから10か月以内に申告・納税します。

この特例では、「相続が始まった時に賃貸していて、その状態を申告期限まで続けていることが大切な条件になります。

ここで、よく誤解が生まれます。

 

「10か月経たないとダメ?」という誤解

今回のケースでは、すでに2月に売買契約を結び、4月末に決済(お金の支払いと引き渡し)をする予定でした。

ところが、相手方の税理士さんから「相続が始まってから10か月経たないと小規模宅地の特例が使えないので、決済は8月末にしてください」と言われたのです。

ここで、私たちは疑問を持ちました。

 

本当に10か月「待つ」必要があるの?

制度の本当の意味は、「10か月間、賃貸を続けなさい」ではありません。

正しくは、「相続税の申告期限の日まで、賃貸をやめていなければいい」という考え方です。

 

つまり、

  • 売買契約を結ぶ → 問題なし
  • 申告期限より前に、引き渡してしまう → ダメ
  • 申告期限の翌日以降に引き渡す → OK

という整理になります。「10か月経たないとダメ」というルールがあるわけではないのです。

 

仲介業者としての立場

私たち仲介業者は相続がいつ起きたかまでは、通常知ることができません。

売主さんが「早く現金が必要です」と言われれば、それに沿って段取りを組むのが仕事です。

今回のような行き違いは、制度が少し分かりにくいことから起きたものだと思います。

 

最後に

この経験を通じて感じたのは、不動産と税金の話は、言葉を少し間違えるだけで、大きな誤解になるということです。「10か月待つ」ではなく、「10か月の間、状態を変えない」。

 

この違いを知っているだけで、売主さんも、買主さんも、ずいぶん安心できるのではないでしょうか。