
不動産を探していると、営業マンからよくこんな言葉を聞くことがあります。
「この物件、もう一組見学されていて、すぐ決まっちゃうかもしれませんよ」 「今月中なら値引きできますが、来月になると厳しいかも…」こういったセールストークに、思わず「今決めた方がいいのかな…?」と焦った経験はありませんか?
実はこれ、「買わないと損する」と思わせるための心理的テクニックなのです。
今回は、不動産営業でよく使われるこの手法の正体を、心理学の観点からひも解きながら、冷静な判断のヒントをお伝えします。

私たちは、買い物をするときに「得をしたい」という気持ちよりも、「損をしたくない」という気持ちの方が強く働くと言われています。
この現象を「損失回避の心理(ロスアバージョン)」と言います。
たとえば、「この物件を逃したら、二度とこんな好条件のものは出てこないかも」 「今なら仲介手数料が無料。でも来月になると通常料金」
こう言われると、「買わないと損する!」と感じてしまいますよね。
でも、ちょっと待ってください。
そもそも、その情報は本当に正しいのでしょうか?
■不動産営業の「常套句」事例
ここでは、実際によくある営業トークと、その裏にある意図をいくつか紹介します。
【事例1】「他にも検討中のお客様がいます」 → 希少性を強調して、焦りを誘います。実際には、"検討"だけで成約の可能性が低い場合もあります。
【事例2】「本日中に決めていただければ、○○万円引きます」 → 限定的なオファーで、即決を促す手法。値引きが恒常的にされているケースも少なくありません。
【事例3】「価格が上がる前に購入した方がいいです」 → 将来的な損失を強調して、今のうちに買わせようとします。価格の予測は不確実性が高いため、鵜呑みにはできません。
■営業トークを聞いたら、こう考えよう
こういったトークを聞いた時には、次のような視点を持つことが大切です。
・本当にその情報に根拠があるのか? ・「損したくない」気持ちに支配されていないか?
・一晩寝かせて冷静に考える余裕を持てるか?
感情に流されて購入を決めると、後悔するリスクが高まります。
営業マンは仕事として「背中を押す」言葉を使いますが、それに乗るかどうかは、あなたの判断です。
■まとめ:「損しそう」という感情にご用心
不動産は、人生でもっとも高価な買い物のひとつ。
営業トークに乗せられて焦って契約するのではなく、自分の中にしっかりとした判断軸を持つことが何より大切です。
「買わないと損する」という言葉には、あなたの冷静な判断力を鈍らせる力があります。
だからこそ、その瞬間こそ一歩立ち止まり、「本当に損なのか?」と問い直す冷静さを忘れずにいたいですね。
あなたが納得できる不動産購入を実現できますように。
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