若い営業マンの仕事のやり方とその背景

                   若い営業マンの仕事のやり方とその背景

今回のケースは、実際に私どもが経験した若き不動産営業マン(どう見ても平成生まれ)の対応についてのことを考えてみました。

元付け業者の営業マン立ち会いの下、貸店舗(飲食店用)物件を紹介(内見)している最中に、別のお客様が時を同じくして現れました。

どうやら、その若き営業マンが事前に知らせておいたようです。

 

私どものお客さまはその営業マンに対して、その場で申し込みの意思表示をいたしました。

しかし、後から現れたお客様がその晩にネットで申し込みをし、ネットバンキングで内金を振り込んだので、結果的に先に申し込みと内金の振込を済ませた方が優先されたという状況です。

この営業マンの対応や考え方には、世代的な価値観の違い現代の不動産業界の傾向が反映されているように思われます。

 

1. 平成生まれの営業マンの特徴

平成生まれ、特に平成半ば以降の世代は、昭和世代とは異なる価値観や働き方のスタイルを持っているようです。

(1)マニュアル重視・個別対応の少なさ

この若い営業マンの「マクドナルドの店員のような対応」「社内規定に従うだけ」という姿勢は、マニュアル化された仕事を好む傾向があることを示していると思います。

  • これは、トラブルを避け、効率的に業務を進めることを最優先する価値観の表れだと考えることができると思います。
  • 「先着順・振込順」というルールを徹底することで、公平性を担保しつつ、後で問題にならないようにしていると考えられます。
  • 個別交渉を避け、平等なシステムで進める方が、ミスやクレームが少ないという考え方を持っているようです。

(2)デジタル世代ならではのスピード感

昭和世代に比べて、平成世代は「ネットを活用して即決する」傾向があるようです。

  • 申し込みもネット経由、振込も即時決済という流れは、彼らにとっては「普通」のこと。
  • 「対面でじっくり話をして契約を進める」のではなく、「システムのルールに沿って、先に決めた人が勝ち」という感覚が強い。
  • これは、スマホ世代の「スピード重視」「即レス文化」に根ざした価値観が影響しています。
  • 昭和世代の営業は「人と人との関係を重視」し、「お客様との信頼関係の中で交渉を進める」スタイルが主流です。しかし、平成世代の営業は、「ルールに沿って、無駄なく仕事を進める」スタイルにシフトしているようです。
    1. 売り手市場の賃貸・不動産業界では、物件側が強い立場にあるため、営業は「選ぶ側」になっている
    2. 「ルール通りに申し込みしてくれるお客様を優先」し、交渉には応じない
    3. 「最初に申し込んだ人が契約できる」というシステムを重視し、感情的な要素を排除するやり方。

このスタイルは、業務の合理化やトラブル防止という点ではメリットがありますが、「お客様に寄り添った営業」を期待する人からすると、融通が利かず冷たく感じることが多いのではないでしょうか。

トラブル防止を優先し、社内ルールという形でマニュアル化し、若い営業マンにそのことを徹底すること自体は悪いことではありません。

しかし、余白が有っていいのが営業の世界です。

 

 

2. 今回の営業マンの対応は問題だったのか?

(1)ルール上は問題なし

  • 事前に「先着順・内金振込順」と説明があった以上、形式的には問題はありません。
  • 申し込み前に未確認事項があったという点もありますが、営業マン側からすると、「申し込み手続きが完了したわけではない」と判断した可能性が高い。

(2)対応の仕方に工夫の余地あり

  • 「申し込みの意思を伝えた時点で仮予約を入れる」など、もう少し柔軟な対応を取ることもできたはず。
  • 他の申し込みが入った時点で事前に連絡をするなど、誠意を見せる方法もあった。
  • 「マニュアル的な受け答え」ではなく、「お客様の事情をもう少し汲んだ対応」が望ましかった。

3. 若い世代の営業マンとの付き合い方・対応策

(1)「感情」よりも「ルール」で動く世代と認識する

  • 平成世代の営業は「ルールを守ること」が最優先。
  • 「昭和的な交渉術(情や関係性で進める)」は通用しづらい。

(2)手続きを先行させる

  • ルールが明確な以上、「申し込みたい」と思った時点で即行動することが重要
  • 「未確認事項があるので少し待ってほしい」という交渉は、あまり通用しないことを前提に動く。

(3)交渉の余地を探るなら、最初に確認する

  • 申し込みの際に「仮押さえはできるのか?」「他の申し込みが入った場合、事前に連絡してもらえるか?」などを最初に確認しておく。
  • 若い営業マンは基本的に「ルール外のことはできない」と考えているので、「ルールの範囲内でどこまでできるのか?」を早めに聞くことが大事。

4. 今後の不動産業界における営業スタイルの変化

今後も、平成・令和世代の営業マンが増えるにつれ、不動産業界の営業スタイルはますます「ルールベース化」し、「即時決済・即時対応」の流れが加速することでしょう。

  • 「人間関係を重視する営業」から「公平でシステマティックな営業」へシフト
  • 「じっくり交渉する」より「条件に合う人がすぐに決まる」時代へ
  • 「営業の個性や交渉力」よりも「スピードと効率」が評価される

こうした流れに対応するためには、「従来の営業手法をそのまま通そうとする」のではなく、「今のルールの中で、いかにスムーズに進めるか」を意識することが重要ですが、なかなか難し場面も出てくるような気も致します。

 

まとめ

平成生まれの営業マンはマニュアル重視&スピード重視
「先着順・内金振込順」などルールを優先し、交渉にはあまり応じない
感情や関係性より、システム的に処理することを好む
今後の不動産営業はますますシステマティックになり、「早く申し込んだ人が勝つ」流れが加速する
交渉の余地があるかどうか、事前に確認し、ルールの範囲内で最善策を取ることが大事

 

 

昭和世代の営業と比べると「温かみがない」と感じるかもしれませんが、これは時代の変化とともに不動産業界の営業スタイルが変わってきている証拠でしょう

この流れにどう適応するかが、私どもの仕事のやり方が今後の取引のカギになっていくと思います。

これからは客様も、若い営業マンのことを研究してから対応した方が良いのではないでしょうか。