売買契約書は、不動産の売買において重要な文書ですが、その中には一般の人にとって馴染みの薄い難解な言葉が使用されていることがあります。ここでは、売買契約書でよく見られる難解用語の具体例とその意味を解説します。これによって、売買契約書の内容をより理解しやすくすることができます。
また、契約書は、契約締日の前に目を通しておくことが安心です。
①地積更正登記
公簿面積と実測面積が異なるときに、登記簿の内容(地積)を実測面積に修正する登記
のこと。
②負担の消除
所有権が移るまでに、抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などがあった場合に完
全な所有権の妨げになる権利をすべて消すこと。
③実測清算
現在の土地面積を測り登記簿上の土地面積と相違があった場合に、提示価格を元に土地
単価を算出しその差額を精算すること。
④・・・を準用する。
ある事項に関する法律・契約等の規定を、別の類似した事項に対し、必要な修正を加え
た上で当てはめること。
⑤手付解除
手付を交付することによって、後で契約を解除できるようにすること。 売買契約や賃貸
借契約などで、相手方が履行に着手するまでは、手付金を支払ったもの(買主や借主)は手
付金を放棄し(手付流し)、相手方(売主や買主)は受け取った手付金の2倍を返却する(手付
倍返し)ことで、契約を解除できること。
⑥ 引渡し前の滅失・毀損
「滅失」とは、文字通り物理的になくなってしま
うこと、または効用を失ってしまうこと。 「毀
損(きそん)」は、物の一部の滅失のこと。
⑦ 契約不適合責任
売買契約において、商品に品質不良、品物違い、
数量不足、その他の不備があった場合に、売主が
買主に対して負う責任を指します。 こ
の点は、契約不適合責任と瑕疵(かし)担保責任と共通しており、契約不適合責任
は、2020年4月に民法改正によって導入された新しい法律のこと。
⑧ 反社会的勢力の排除
反社会的勢力を排除するために、契約書を交わすときに必須のこの条項があります。 こ
れを「反社条項」、または「暴排条項」といいます。 反社条項(暴排条項)は、各都道
府県の暴力団排除条例(暴排条例)により必須とされています。
⑨ 管轄の合意
「合意管轄」とは、取引相手との間で代金不払いトラブルや損害賠償請求トラブルが発
生し、裁判により解決しなければならない場合にそなえて、「どこの裁判所で裁判を行
うか」を合意で決めておくこと。賃貸編も参照してください。
⑩ 特約条項
通常の契約に付加して、当事者間で交わされる特別な契約事項を指す。 賃貸借契約や売
買契約を結ぶ際に特約事項が付加されることが多く、それぞれの物件的事情に適した形
で契約でき、万が一争いが起こったときに処理しやすくなる、争い自体を事前に予防
できるというメリットがある。
売買契約書の難解用語を解説しましたが、不動産の売買は大きな取引であり、契約書の内容を正確に理解することが重要です。契約締結前に、専門家や法律に詳しい人に相談し、契約条件や用語の意味を確認することをお勧めします。これによって、トラブルや誤解を避け、円滑な取引を進めることができると思います。
他の記事をお読みいただける場合はこちらのページの「ブログ」の項目からお選びください。
コメントをお書きください